ひとりで会社をやっていると、「なんでも頼める秘書を雇いたい」と思うことがあります。
朝から注文、在庫、広告、仕入れ、取引先への返信。目の前の作業を一つ終えても、頭の中では別の仕事がずっと気になっています。
「〇〇さんからのメールを確認して返信の下書きをGmailに保存して」
「これまでのやり取りを確認して請求書を作って」
「この商品を作りたいんだけど、競合を調査して、業者ごとの利益の検討表を作って」
「〇〇したいんだけど、こんなことは自動化できる?」
こんなことを夢見て、ChatGPT(Codex)でAI秘書を作り始めました。
ただ、最初は思ったようにいきませんでした。
「仕事を手伝って」と頼むだけでは、AIも何から始めればよいか分かりません。急ぎではない仕事を先に提案したり、まだ決めていないことを進めそうになったりしました。
人間の秘書でも、会社のことや任せたい仕事を何も伝えなければ困りますよね。AIも同じでした。
この記事では、第1話で作ったObsidianの「AIの脳」を使い、AIを毎日の仕事へ参加させる方法を紹介します。
これをやればOK
AI秘書を作るために、難しいプログラムは必要ありません。
次の5つを伝えれば、今日から仕事を一緒に整理できます。
- あなたは誰の秘書なのか
- 何を優先するのか
- 何を確認してから始めるのか
- どこまで自分で進めてよいのか
- 仕事の最後に何を残すのか
大切なのは、何でも自動でやらせることではありません。
下調べや下書きはAIに任せ、公開・送信・削除などの大事な操作は人間が確認する。この境界線を最初に決めると、安心して頼めるようになりました。
まずは、これをコピペすればOK
5つの設定を自分でファイルへ書く必要はありません。
パソコン版ChatGPTでCodexを開き、第1話で作ったObsidian保管庫を作業場所にします。新しいセッションへ次の文章をコピーしてください。
Codexが必要なことを一つずつ質問し、あなたの回答を整理して、適切なMarkdownファイルへ保存します。
このObsidian保管庫を使って、
私の会社の仕事を手伝うAI秘書を設定してください。
私はITに詳しくありません。
一度にたくさん質問せず、必要なことを一つずつ聞いてください。
次の5つを、私の回答に合わせて決めてください。
1. AI秘書の役割
2. 仕事を提案するときの優先順位
3. 仕事を始める前に確認するファイルと順番
4. AIだけで進めてよい作業と、実行前に私の確認が必要な作業
5. 仕事の最後に作業履歴と引継ぎへ残す内容
すでにこの保管庫にある 00_AI作業開始.md、共通運用ルール、
全体ダッシュボード、各仕事の引継ぎ・確定事項・確認待ちを確認してください。
私が回答していないことは推測せず、「確認待ち」としてください。
今あるルールと矛盾する場合も、勝手に上書きせず私へ確認してください。
調査、整理、比較、下書き作成、保管庫内のファイル作成と記録は進めて大丈夫です。
外部公開、投稿、送信、削除、購入、
広告費やアカウント設定の変更は、
必ず実行直前に私へ確認してください。
質問への回答がそろったら、必要な設定を適切なMarkdownファイルへ保存し、
AI秘書として仕事を始めるときと終えるときの手順も作ってください。
最後に、設定した内容と、次回から私が最初に伝える一言を、
難しい言葉を使わず簡単に教えてください。
まず、最初の質問を一つしてください。
送った直後に、すべての設定が完成するわけではありません。Codexから聞かれたことへ、普段の言葉で一つずつ答えていけば大丈夫です。
以下では、この依頼文の中で何を設定しているのかと、後から一部分だけ直す方法を説明します。
失敗したこと
最初の私は、AIへ次のように頼んでいました。
今日の仕事を手伝ってください。
これでも返事はもらえます。ただし、AIには会社の売上状況も、今日の締切も、私が何に困っているかも分かりません。
結果として、もっともらしい一般論が返ってきました。
欲しかったのは、一般的な仕事術ではありません。「いま自分の会社で、何から手を付けるか」を一緒に考えてくれる秘書でした。
そこで、AIへ毎回長い説明をするのではなく、秘書としての役割と仕事の進め方をObsidianへ記録しました。
設定1 AI秘書の役割を決める
最初に、「誰を、何のために助ける秘書なのか」を決めます。
私の場合は、Amazon・楽天・自社ECを運営する、ひとり会社の経営者を助ける秘書です。
役割は長く書かなくて大丈夫です。次の文章をCodexへコピーし、自分の仕事に合わせて質問してもらいます。
あなたを、私の会社の仕事を手伝うAI秘書として設定したいです。
私の会社、担当してほしい仕事、困っていることについて、
必要な質問を一つずつしてください。
私の回答を分かりやすく整理し、
このObsidian保管庫の適切なMarkdownファイルへ記録してください。
分からないことは推測せず、確認待ちとして残してください。
「一つずつ質問してください」と入れるのがポイントです。一度に質問が10個並ぶと、それだけで閉じたくなってしまうからです。
設定2 仕事の優先順位を伝える
AIは、会社にとって何が大切かを最初から知っているわけではありません。
たとえば売上を増やすことだけを優先すると、広告費が増えて利益が減ることがあります。在庫確認を後回しにすると、売れている商品が欠品するかもしれません。
そこで、仕事を提案するときの基準を伝えます。
私の場合は、次の順番を基本にしています。
- 今日中に対応しないと困ること
- 売上や利益への影響が大きいこと
- 在庫切れや広告費のムダにつながること
- 取引先やお客様を待たせていること
- 将来の仕組み化につながること
会社によって正解は違います。「利益より売上を優先したい時期」「新商品の発売準備を最優先する週」など、状況が変われば後から直せます。
設定3 朝に確認する場所を決める
AI秘書へ仕事を頼むたびに、すべてのファイルを読んでもらう必要はありません。
最初に見る入口と、今日扱う仕事だけを確認してもらいます。
仕事を始める
↓
全体のダッシュボードを見る
↓
今日扱う仕事の引継ぎを見る
↓
確定事項と確認待ちを見る
↓
今日の優先順位を提案する
人間の秘書が朝に予定表と引継ぎノートを見るのと同じです。
私は仕事を始めるとき、次の文章を使います。
おはようございます。今日の仕事を始めます。
最初に 00_AI作業開始.md と全体ダッシュボードを確認し、
進行中の仕事、期限、確認待ちを整理してください。
そのうえで、今日優先した方がよい仕事を3つまで提案してください。
なぜ優先するのかも、難しい言葉を使わず一言で説明してください。
まだ分からないことがある場合は、最初の質問を一つだけしてください。
朝に全部やる必要はありません。まず3つに絞ってもらうだけで、頭の中のタブが少し閉じる感じがしました。
設定4 AIが止まる場所を決める
AI秘書が便利になるほど、「どこまで任せるか」が大切になります。
私がAIだけで進めてよいことは、主に次の作業です。
- 情報を探して整理する
- 表や文章の下書きを作る
- 選択肢と違いをまとめる
- ファイルへ作業履歴を残す
- 次に確認することを一覧にする
一方で、次の操作は実行直前に私が確認します。
- 外部へ公開する
- メールやメッセージを送る
- ファイルや投稿を削除する
- 商品を購入する
- 広告費やアカウント設定を変える
AIを信用しないためではありません。確認が必要な場所を決めることで、それ以外の作業を安心して任せるためです。
調査、整理、比較、下書き作成、社内ファイルへの記録は進めてください。
外部公開、投稿、送信、削除、購入、
広告費やアカウント設定の変更は、
必ず実行直前に私へ確認してください。
判断材料が足りない場合は、勝手に決めず確認待ちへ残してください。
設定5 仕事の最後に引継ぎを残す
その日の仕事が終わったら、長い日報ではなく、次の4つだけを残します。
現在地:どこまで終わったか
決まったこと:今回確定した内容
確認待ち:まだ判断が必要なこと
次の作業:次回、最初に行うこと
これを引継ぎファイルへ保存しておけば、翌日も続きから始められます。Claudeへ相談するときも、同じ引継ぎを見せれば話が早くなります。
今日の作業を終了します。
今回行ったこと、決まったこと、確認待ち、次にすることを整理し、
この仕事の作業履歴と引継ぎファイルへ記録してください。
未確認の内容を確定事項へ入れないでください。
最後に、次回最初にすることを一つだけ教えてください。
AI秘書を作って変わったこと
AIが本当に人間の秘書と同じになったわけではありません。間違うこともありますし、こちらの意図を確認してもらう場面もあります。
それでも、朝に「何から始めよう」と考える時間は減りました。
思い付いた仕事をすべて抱えるのではなく、まず優先する3つを決める。調べる、比べる、下書きを作るところはAIへ任せる。外へ出す直前だけ自分で確認する。
この流れができただけでも、ひとりで全部を抱えている感覚が少し軽くなりました。
さらに、AIへ分かるように会社の仕事を整理すると、自分自身も「何が決まっていて、何が止まっているのか」を見つけやすくなります。
AI秘書を作ることは、AIへ魔法の指示文を渡すことではありませんでした。
仕事の入口、優先順位、安全ルール、引継ぎを一緒に整えることでした。
まずは朝の3分から
最初から会社の仕事をすべて任せる必要はありません。
明日の朝、次の一言から始めてみてください。
今日優先した方がよい仕事を3つまで整理してください。
返ってきた内容が違えば、理由を伝えて直してもらいます。その修正をObsidianへ残すたびに、AI秘書は少しずつあなたの会社に合うようになります。
第1話から読みたい方、続きの第3話へ進みたい方は、次の「前の記事」「次の記事」から読めます。
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